2013年04月30日

4月18日基礎科昼間部(村田)

第61期基礎科昼間部の二回目。

先週小津安二郎「風の中の牝鶏」のシナリオを渡され、日替わり毎に200字で要約する宿題が出されていた。

二回目の今日は最初に宿題を集めると、直ぐに「風の中の牝鶏」の上映会。

実は小津の作品をじっくり観るのは今日が初めて。それに映画を観る前にシナリオを読んだのも初めてだった。なので今日の上映会は物凄く楽しみにしていた。シナリオから思い描いた映像と実際の映画がどの様に違うのか興味津々だった。

クレジットタイトルが終ると、いきなり大きなガスタンク。球体ではなく円柱形。それに想像していたより遥かに大きかった。また舞台となる長屋のすぐ近くで、小さく映る人々との対比が印象的。

程なくして、長く急な階段が登場。しかも堂々の真正面からのショット。まるで物言わぬもう一人の主人公といった感じ…。

そして時子を演じる田中絹代の登場。申し訳ないが私は昔のTVドラマ「前略おふくろ様」でしか観たことがなかった。

ト書きにわざわざ「自堕落」と書込まれている織江の登場。部屋に大量の空いたビール瓶が並んでいる。うーん、なるほど…。

病室のシーン。なんとベッドが無く、和室に厚いマットと布団が直に敷いてある。想像と全く違う…。

おっ笠智衆が登場。が、非常に若い!(でもしゃべり方は笠智衆だった)。

と、こんな感じで映画を観ていた。細かい点は別として意外にも途中までは想像していたものと近かった。実は一番想像と違っていたのは、有名な最後の「階段落ち」のシーン。まずはそのもの凄い迫力。上映後の感想でこのシーンを取り上げている人がいた。ただ実は私が一番驚いたのは、時子が落下したとき、佐野周二演じる時子の夫修一が、直ぐに時子の傍に駆け寄らなかったこと。一瞬「う〜ん、これが当時の『男』というものなのか?」と考えてしまった。しかしその後に、時子が一人で一段一段片足を引きずりながら階段を登っていく長回しのシーンを観て「あっ!監督は、これが撮りたかったのか」と納得。
ここはシナリオからだけでは想像つかなかった。同様な感想は他の人も持っていた。

最後の最後で二人は固く抱き合うが、このシーンではお互いの顔のアップは無く、最後は修一の背中に回した時子の手のアップで終わる。ここも想像とは違った。

上映会の後は皆が感想を述べ、最後に講師の方からこのシナリオを選んだ理由の説明があった。

1)回想シーンがない(⇒時間通りに進行する)
2)ナレーションがない(⇒説明は会話の中で全て行っている)
3)大切なシーンをわざと省いて、その後の会話の中で説明することが多い
(⇒くどさが無くなり簡潔になる)

回想シーンやナレーションの乱用は、初心者が犯し易いミスなので注意して下さいとのこと。また3)に関しては、宿題をやっている時に私も少し感じていた。時子が織江にお金のことで相談に行く場面は実際には登場せず、織江の非常に短いセリフで説明しているがその僅かなセリフで状況を的確に伝えていて上手いと思った。また読み易かった。

次回までに提出するような宿題は出されなかったが、家に帰ったら今日中に再度シナリオを読んでシナリオの中のセリフが実際にどのようにしゃべられていたか?ト書きが実際にはどのような絵になっていたか?などを思い出して欲しいと言われた。

一回目の授業で「映画を観る」⇔「そのシナリオを読む」この繰り返しがシナリオの上達において重要になると講師の方が仰っていたが、まさにこのことなのだと実感した。

シナリオを読んで映画を観るという体験は初めてだったが、本当に面白かった。


posted by シナリオ講座 at 13:33| 13年春 第61期基礎科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする